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ビジネス書について考える前に、私の考え方(My Way of Thinking)を最初にお話しします。
そのことによって、なぜビジネス書を読むようになったのか、なぜ読まなければならないのか、ご理解ただけると思います。
初回にしては、長くなりますが、ぜひ最後までお付き合いください。
「考えたことは考えたように実行しなければ、考えた意味がない」(『考える力をつける本』轡田隆史氏)、「仮説」と「検証」(鈴木敏文イトーヨーカドー会長兼セブン−イレブン会長が事あるごとに述べる言葉)あるいは「隗より始めよ」(中国故事、言い出しっぺから始めなさい)という言葉があります。
私はこれらの言葉をこのように理解しています。
考えたり、アイデアを出すだけでは不十分。実践し、さらに成果を上げることの方がはるかに重要なことだということです。
世間には、アイデアを出すだけで、自ら実行(実証)しない(できない)人がいます。いわゆる「偉い人」に多いように見受けられます。アイデアを出したら、自ら実行し、そのアイデアが「机上の空論」ではないことを実証しなければならないと考えます。
特許についても同様なことが言えます。特許には「先願主義」と「先発明主義」があります。
「先願主義」は、発明した人よりも先に出願した人に特許権を与えるという考え方で、日本やヨーロッパで認められています。一方、「先発明主義」は、出願した人よりも先に発明した人に特許権を与えるという考え方で、アメリカで認められています。
発明王エジソンが称えられるのは、「発明」したからであって、「アイデアを出した」からではないということです。ある意味では「アイデア」を出すことは割合にたやすいことですが、そのアイデアを実現させることは難しいということでしょう。「言うは易く、行いは難し」とは、古今東西変わらないことです。
私の考え方に大きな影響を与えた2冊の本をご紹介します。
1冊は立花隆の『「知」のソフトウェア』でした。
この本との出会いからノンフィクションの世界へ入っていきました。「脳」や「精神医学」、ドキュメンタリーへと関心が広がっていきました。
発刊されてから歳月が経ちましたが、内容は色褪せることなく今でも燦然と輝いています。
「名著」です。
もう1冊の本は大前研一の『企業参謀』でした。
この本と出会い、ノンフィクションからビジネス書の世界へ入っていきました。
著者は私にとってはグル(精神的指導者)の存在です。
この2冊の本は、その後の「私の考え方」の基礎を形作るものでした。
「ゆでガエルの話」をご存知ですか?
【ゆでガエルの話】
<カエルにとっては生死にかかわる温度(40度くらいといわれる)のお湯のなかに、カエルをいきなり放り込むと、カエルはびっくりして必死に容器の外へ飛び出して助かる。しかし同じカエルを水をはった器に入れ、じょじょに熱していくと、カエルはぬるま湯に慣れて飛び出すタイミングを失い、やがてゆでられて死んでしまうというものである。
環境にどっぷりつかっていると、その変化に鈍感になり悪化しても気づかない。微温的な居心地のよい環境に馴れてしまうと、自分の情報感度の鈍さ、視野のせまさにも気づかないまま危機的な状況を招いてしまうという教訓である>
(『やる気 やるチャンス やる力』 高原慶一朗 日経BP社)
このような状況に陥らないようにするためにはどのようなことが必要でしょうか。情報感度を良くするために、常にアンテナを磨き、情報発信を怠ってはならないと思います。私は「本当に役に立つ」ビジネス書をご紹介します!というサイトを通じて情報を発信し続けます。
私は「情報とは自分にとって付加価値を持つものである」と考えています。ほとんどの人に知られていることであっても、自分にとって関心のないことであれば価値を持たないからです。逆に、周囲にほとんど知られていなくても、自分で付加価値を認めれば真の意味で「情報」になるのです。
いみじくも、大前研一が「Yahoo はブロードキャスティングではなく、ナローキャスティング」と喝破したのはこうしたことを指しています。一人ひとりから情報を収集し、一人ひとりにマッチした情報を提供し続ければ、その情報は「付加価値」を持ち、好循環を生み出すことができるのではないでしょうか。つまり、付加価値情報の発信 → 付加価値情報の受信 → 付加価値情報の発信 → 付加価値情報の受信 → 付加価値情報の発信 → 付加価値情報の受信 → ・・・・・・・・・
◆ 情報とは ◆
「情報」について、私は次のように考えています。
(1)速いこと。
(2)正確であること。
(3)付加価値を持っていること。
(4)価値ある情報を発信しなければ、価値ある情報は受信できないこと。
つまり、give & take = 持ちつ持たれつであること。
(5)「2つ以上の違った意見である(岡崎久彦)」こと。
(6)「裏づけのない情報」は価値がないどころか、損失を招く恐れがあること。
(7)すべての情報を一人で所有することは不可能であるので、情報の在りかを知っていればよいこと。
(8)一番やってはいけないことは、特定の人間だけが情報を握り、情報の流れを遮断し、周囲を「陸の孤島」にしてしまうこと。
「ゆでガエルの話」に戻りますと、それはReactive と Pro-active の違いを表現したものと考えています。泥縄式に対応することと、仮説・実行・検証あるいはシミュレーションやシナリオ・プランニングの手法を用いて事前に対策を講じておくこととの違いです。予防医学や予防法学にも通ずることです。
Reactive と Pro-active についてはこちらをご参照下さい。
私は、当サイトを通じて「自分の立場」を明示し、多くの方々からのご批判やご叱正を受けてもいい状態を保っています。そうしたことが不可欠ではないかと確信しています。なぜなら、発言するという行為には責任が伴うからです。
ハンドルネームを使って公に発言しているケースがあります。
どのようなメディアを使用するにせよ、自分が正しいと思ったことを発言するのであれば、堂々と身元を明かして自信を持って行なうべきです。
6500万年前に、地球に落下した隕石によって環境が激変し、その後の環境に順応できなかった恐竜は絶滅したと考えられています。恐竜のような運命を辿らないようにすることも大切なことです。つまり、環境に適応しすぎてしまうと新たな環境への適応能力を失ってしまうということです。
野中郁次郎、竹内弘高両一橋大学大学院教授は『知識創造企業』(原題は The Knowledge Creating Company)の中でこれを Adaptation precludes adaptability と表現していました。
サン・マイクロシステムズのCEO、スコット・マクネリーは「自己満足は死に等しい」と語ったことがあります。自己満足すれば、そこで成長が止まるからです。むずかしいことではありますが、向学心を持ち続けることが絶対に必要です。
『明日を支配するもの』 P・F・ドラッカー ダイヤモンド社 1999/03/18
P・F・ドラッカーの本を読んでいつも感服するのは、その類まれな「ものごとの本質を見抜く能力」と「先見性」です。ドラッカーは常々「公開された情報を基に分析すると、こうならざるを得ない」というようなことを述べていますが、他の人にはなかなかできないことです。私のような常人には遠く及ばない「洞察力」や「未来を明確に見通す眼力」が備わっているのでしょう。そんな簡単な言葉で片付けられることではないかもしれません。
この本は、3年前に世界同時出版された著作の日本語版です。
「マネジメントを発明した男」の本領が遺憾なく発揮された本と言ってもよいのではないでしょうか。
今年94歳になる著者の向学心には本当に頭が下がります。氏のものの見方・考え方を参考にして、長い年月をかけて独自の視点を形成していきたいと考えています。
特に印象に残った一節がありました。自分は「読む人間」か、「聞く人間」かという個所です。
<仕事の仕方について初めに知っておくべきことが、自分は読む人間か、聞く人間かである。世の中には読み手と聞き手がいるということ、しかも、両方できる人はほとんどいないということを知らない人が多い。自分がそのいずれであるかを認識している人はさらに少ない。しかし、これを知らないことがいかに大きな害をもたらすかについては、いくつかの実例がある>
その実例をいくつか挙げていますが、その中の一つはケネディとジョンソンを比較している個所です。
<リンドン・ジョンソンが同じく大統領として、アイゼンハワーとは逆に、自らが聞き手であることを知らなかったために、評判を落とした。
自らが読み手であることを知っていた彼の前任者ジョン・ケネディは、歴史化アーサー・シュレジンガー、一流記者のビル・モイヤースなど、最高の書き手を集めた。彼は、問題の検討に入る前に、必ず書いたものを要求した。ジョンソンは、それらの書き手をそのまま引き継いだ。彼ら書き手は、次から次へと書面を提出した。しかし、ジョンソンがそれらのものを一度も理解しなかったことは明らかだった>
余談になりますが、大統領には膨大な書面に目を通さなくてはならない義務があります。
ケネディはその昔、速読するために文書の左上から右下にかけて「斜め読み」したといわれています。その速読法によって文書の大意を掴んだのでしょう。 (08/22/2003)
下記の書評をご覧ください。
『明日を支配するもの』 P・F・ドラッカー ダイヤモンド社
作家高杉良のドキュメンタリー『権力必腐』(光文社)の中に次の一節があります。
<会長なり頭取なり社長などの権力者の側近に心してもらいたい、といつもながら思うのですが、自分までが偉くなってしまうことが往々にしてあるのです。しかも、そういう人に限って、上に弱く、下に強いサラリーマンの一つの典型を見る思いにさせられます>
私はそうなりたくないし、なれません。私もサラリーマンですが、「サラリーマン根性」は見苦しく、嫌いです。
上記の文章は側近について述べたものですが、これからご紹介する内容は「トップマネジメントの心得」について述べた記事です。じっくりお読みください。
デルコンピュータ 経営と組織の変革 (『日経ビジネス』 2003. 4. 7号)
デルコンピュータ(以下デル)といえば、PCの直販で世界一であるばかりか、PCの顧客満足度NO.1の会社であることはご存知のとおりです。
そのデルで変革が進行しているというのがこの記事の要旨です。
まず、大きな変化はマイケル・デルCEOとケビン・ロリンズCOO(最高執行責任者)とが相部屋で「共同経営」を行うことになったことです。
このようになった経緯をデルCEOは次のように日経ビジネスニューヨーク支局長酒井耕一氏に語っています。
<「2人で相談した方がいい経営ができる。日常業務の多くをロリンズ氏が担当している」>
さらに詳しくインタビュー記事を見てみることにしましょう。
インタビューの中で特に印象に残った部分は次の個所です。
<個人でも企業でもそうだが、成功というものは自己満足や独りよがりに陥る危険と隣り合わせだ。幸いにもデルはそうなっていないが常にその危険はある>
これら一連の記事を読んだとき「成功の復讐」(一度成功すると驕りが生じ、その当時と経営環境が大きく変化しているにもかかわらず、同じ手法を用いたためにしっぺ返しを食らうこと)と「権力必腐」(権力を握ると必ず腐敗すること。人類の歴史をひも解くとこの事実が繰り返されています)という言葉が思い出されました。
と同時に、トップが常に「危機感」を抱いている限り、デルは成長し続けると思いました。
もう1つ、この記事の中で印象的だったことは「従業員満足度」についてでした。
<デルCEOが最も力を注ぐのが従業員の満足度評価。デルでは、同社での仕事に満足しているかを社員に問う制度を導入した。約30項目からなり、「上司の指導法」や「能力開発の機会」などについて評価を聞く。社員にさらなる成長を期待するには、管理職も変わらなくてはいけない、との問題意識が背景にある>
酒井ニューヨーク支局長は、この記事を次の言葉で結んでいます。
<経営陣の姿勢が伝われば社員の士気は上がる。だからこそ、社員は顧客の声を聞くことに専念できる。デルの強さは、好循環を生む小さな変化の積み重ねにある>
注 『日経ビジネス』(2004.6.14号)の「編集長インタビュー」(勝ち続ける文化作る)によれば、ケビン・ロリンズ氏は次期米デルCEOに就任するそうです。尚、「編集長インタビュー」の一部は「今週の言葉 バックナンバー#001」に掲載しています。(06/20/2004 Sun)
長い時間お付き合いしてくださり、本当にありがとうございました。
次回から今までに読んだビジネス書の中から、特に印象に残ったビジネス書をご紹介していきます。
ひとつお願いがあります。
このブログのベースになっているのは、今月(2008年4月)16日で7周年を迎えた、私のサイト本当に役に立つビジネス書をご紹介します!です。
このサイトをぜひ一度ご覧になってください。必ず一つ(本心としては数十)は役に立つ情報を提供できると確信しています。
当ブログとともにご愛顧ください。



